SS
spacer
JULY.2011
spacer spacer

『相撲界を牽引する白鵬』

[Vol.109]

spacer
spacer

 “白鳳(はくほう)”とは、「白い羽毛の鳳」で「鳳は古来中国で尊ばれた、想像上の瑞鳥」(広辞苑)だそうです。「鵬」も想像上大鳥で、「鳳」も「鵬」も「おおとり」と読みます。日本にも白鳳という年号があり、白鳳文化というのが672年の壬甲の乱後から数十年間、平城京遷都まであったと日本史の本に書いてありましたが、まさに今場所の横綱・白鵬の活躍は、我が国の相撲文化を根底から支えたと言っていいのではないでしょうか。
 先場所は、本来の五月場所が五月技量審査場所と命名され、八百長問題で騒乱と化した相撲協会が建て直しを図り、相撲ファンだけでなく、日本全国民に向けて、本来の相撲のあるべき姿を問うという重要な場所となりました。戦後、これほど一つのスポーツがファンに疑われ、ののしられ、価値を下げてしまったケースなどもちろんありません。そして、この場所で一番責任感という名前のプレッシャーを感じていたのは、言うまでもなくその最高位にある横綱。ましてや、たった一人の横綱として君臨する白鵬だったのではないでしょうか。このモンゴル出身の26歳の青年に、相撲協会だけでなく、マスコミも相撲ファンも、さらには、多々ある相撲業界の方々も期待しました。全勝優勝ではなかったものの、それを全うした横綱・白鵬に尊敬の念を抱かずにはいられません。

 さて、この五月技量審査場所は、次の場所に向けた番付編成を行うための技量審査を行う目的で開催されました。しかしながら、記録などの扱いは、正式記録となり、一方で本来あるべき五月場所は、開催中止となりました。相撲協会としては、いわゆる八百長相撲の疑惑をクリアにするための手段として開催したのでしょうが、実際
に、私たち相撲ファンが楽しんだのは、どれだけ華麗に技をかけ、相手を土俵に投げ倒すかであり、勝敗の結果よりは勝敗のプロセスにおける体の流れの美しさやダイナミズムだったように思います。中には、数秒間で決着のついた押し相撲もあり、また、三分にも及ぶ力相撲もありました。そして、一番わかりやすい方法で安定的に白星を連ねたのが、白鵬でした。次のようなコメントを残しています。
「勝敗には拘るが、それよりも納得できた相撲をとれたかどうかです」
このコメントの中に、今後の相撲協会の革命のヒントがあるように思うのです。

長嶋一茂
〜月刊「美楽」7月号より〜

to top

spacer
spacer
spacerspacer
backnumber
spacer
spacer
2011
2010
2009
2008