日本人の責任感 『掛かりつけ病院をメモしておこう』 報道番組のキャスターという仕事をしていると、政治のスキャンダルからスポーツニュースまで、日時と場所が異なるものの、それぞれのニュースはほとんど同じ内容に思えてならないものが多い気がします。 残暑の日本で、以前にも報道したような「こんなことがあるんだろうか」と、思われる医療トラブルが取り上げられました。 それは、奈良県の妊婦の受け入れ病院探しが難航し、挙句の果てに、救急車が交通事故を起こしたという悲惨なニュースです。妊婦の搬送にあたった消防士は、「すぐに運びたかったが受け入れ先がなく、動けなかった。」と、悔しさを語りました。 事の始まりは、8月29日、午前2時47分頃。スーパー入り口のベンチで横になっていた妊婦が、「昨日の晩から出血しています。」と、訴えたところから始まります。 流産の可能性があるという、妊婦を乗せた救急車は地元の奈良県に受け入れる病院がなかった????ため、お隣の大阪を当たりました。ところが、この間延々と10以上の病院に診察入院の依頼をしたのですが、結局受け入れ先の病院に連絡が着いたのは、1時間半も後となってしまいました。 同様の事件は、千葉市内にもありました。最近、1年7ヶ月の間に45人もの妊婦が救急搬送の受け入れ拒否になっていたことも判明しました。改めて、日本全国の救急医療体制の問題の根深さがクローズアップされています。この問題は、地方行政の現場と厚生労働省の連携が上手く取れてない、ということから生じていると思います。 医療政策を作る厚生労働省と医療現場のスタッフと、またそのパイプ役を勤める知事や、議員たちがどうもしっくりきていないような気がします。 この複雑な都市の中で生きていくということは、分刻みで命を失い兼ねない事故やトラブルに遭遇する可能性が高いでしょう。私の友人も、たまたま掛かりつけの医者に携帯電話が繋がったことで、スムーズな処置を受けることが出来ました。テレビ番組の中でも申し上げましたが、病気や事故は全く予測が付きません。スポーツ中の事故であれば比較的日中に起こることが多いので、病院が受け入れ態勢を僅かな時間で整えることも出来ますが、様々な事故や病気、特に乳幼児のトラブルはいつ起こっても不思議ではありません。 そこで皆さんに提案したいのは、常日頃から万が一のとき用に病院リストの作成と、掛かりつけの医者との個人の連絡体制を作っておくことです。医者の連絡先は、プライバシーに関わるので中々教えてもらうのは難しいかもしれません。しかし、現在の医療体制にあっては、そんなことも言っていられないのが皆さんの本音でしょう。 日本全体が健康ブームではありますが、意外と家庭内での予防医療体制には「対岸の火事」と楽観視されて手が回っていないのではないでしょうか。 (美楽掲載記事より) 長嶋 一茂